BUSINESS・DNA事業・DNA

シリコーン、
この特殊な素材を、
社会に役立てていく。

私たち富士システムズは、シリコーンという独自性の高い素材で、医療用カテーテルを開発しているメーカーです。医療用カテーテルというと、みなさんのイメージは、輸液を運んだり、体内の物質を排出させたりする“単なる管”なのかもしれません。しかし、カテーテルはその想像をはるかに超えて医療を前に進めるためになくてはならない存在になりつつあります。特に内視鏡や腹腔鏡手術といった、体を大きく開かずに行う治療では、ドクターの手の代わりとなって、深部の病変にアプローチしたり。狭く暗い体内をバルーンを使って膨らませ手技をしやすくするなど、様々な期待を担っていくのです。

そんな医療用カテーテルの世界で、私たちがもつ強みの一つはシリコーンという素材。この特殊な樹脂は、様々な物質の影響を受けにくく患者さんの体に負担をかけないなどのメリットがあります。また、この素材に精通した企業は少なくシリコーンの良さを引き出せるのも私たちならではの強みなのです。

離れ業のような手技を行う、
この国のドクターからの期待。

私たちのもう一つの強みはドクターとの信頼関係です。私たちには60年という歳月をかけて積み上げてきた医療機関との関係性があります。そのため、「こんな技術が欲しい」「こんな治療が欲しい」とドクターが考えた瞬間に、声がかかり新たな製品がスタートすることもよくあります。

実は、日本のドクターは、世界の中でも特別な存在です。とても手先が器用で、まるでアーティストのような離れ業のような手技を行う先生もいます。日本の医療は先進的で、ドクターのレベルは高い。そんなドクターが「こんなことをしたい」という希望を持って私たちに声をかけてくれる。だからこそ、とても、やりがいが大きい仕事でもあるのです。

規模を追い求めない、
質を追求する。

カテーテルは、消耗品としての顔もあるため、大量に流通していくことが多い商材です。しかし、私たちは、低コストで大量な生産を担うのではなく、高い品質と工夫によって、できなかった医療を実現するためのカテーテル開発を得意としてきました。規模が大きすぎないからこそ、治療の現場に寄り添い、使い手である医療従事者の声を聞きながら、よりよいものを提供することができるのです。また、よいものを作るために職種や組織にこだわらず、みんなで知恵を持ち寄ろうという企業の風土も、こうした価値観の背景にあるのだと思います。

鼓膜の奥で、息づく技術。

鼓膜の奥で、息づく技術。

耳管という鼓膜の奥の空洞から、鼻の奥へつながる管。この管が開いたままになってしまうことで、自分の声が響いて聞こえたり、耳が塞がったような感覚になる。こんな辛い症状が続くのは、難治度の高い耳管開放症。実はこれまで、この症状を改善する治療法はありませんでした。しかし、専門のドクターからの依頼で、私たち富士システムズが、耳管を狭くすることができる、シリコーン製の微細な太さのピン「耳管ピン」を開発。耳管開放症の程度に合わせて先端幅の異なるサイズを用意することができました。

人工肺への挑戦。

人工肺への挑戦。

シリコーンの特徴は、分子レベルで気体の交換ができることです。これを応用した技術に人口肺の開発があります。血管の中の酸素を移行させる肺の機能を代替する、人工肺では、まだ長期で使えるものがありません。例えば、30日。できれば、数ヶ月単位で使えるものが出てきたら、救える命はさらに増えていくはず。また、シリコーンの特性を利用して、さまざまな装置の幹になる部分に私たちの技術を使うことで、これまでにない課題解決ができていくと思います。

上はラットサイズの人工肺。中の白い繊維の束は、シリコーンでできた中空糸を束ねたもの。低分子物質の透過性を備えたシリコーンの可能性を追求している。
下は人間規模の人工肺。研究・実験を重ね、未来の実用化に向けて改良を重ねている。